第1027話 25.12.2023「さよなら2023」

今年も残すところ一週間あまりとなりました。
いやぁー早いですねー。
この歳(まもなく59歳)になると、このスピードに全然ついていけませんわー。(笑)
しかし、そんな今年も思い起こせば弊社においてもいろんなことがありました。
春には40数年間在籍された大先輩Aさんが退職されました。
ナント御年70オーバー!
高齢化が進むこの木材業界ですが、そのトシを感じさせないパワフルな活躍ぶりに本当に驚かせられたものです。
体力的にも間違いなく現在の私よりは相当上であったでしょう。
そして、そのあと今度は30代の若者が入って参りました。
40代以上しかいなかった弊社もだいぶ若返りました。
以前もちょいとご紹介しましたが、いろんなジャンルの木工業界を渡り歩いてきた2号クンは即戦力です。
そんな若い力を借り、今年は初めてチラシを作ってみたりもしました。
@合板を紹介するチラシです。
私のような、長い間同じことをずーっと続けてきて凝り固まった脳しか持っていないモノにとっては、今の時代の「奇抜で斬新なアイデア」のようなものは全く浮かんできません。
また、いろいろあるパソコン内のアイテムやアプリなども使いこなすこともままなりません。
それをいとも簡単に仕上げてしまうのですから、今後に大いに期待です。
それにしても、今年の夏は暑かったですよねー。
私はトシのせいもあるとは思いますが、ホントに毎日きつかったです。
それでもそんな中、お客様のところで荷降ろし中に「えー、2枚持ってるのー!ほかの人は1枚だよー」と声をかけられることもあったりします。
「長い間の習慣なんですよー」と返しますが、悪い気はしません。(笑)
ただ、持久力は明らかになくなっております。
せめて引退するその日まで18ミリ 3×6 を2枚持ち続けられるよう、体力維持に努めたいと思います。
みなさん、来年もよろしくお願いいたします。(文:正さん)

第1026話 18.12.2023「超厚合板開発へ」

もうすぐ今年が終わろうとしています。
一年はあっという間ですね。
ただ、この一年一年の積み重ねに未来があり、結果的に大きく変化していくのでしょう。

近年、木造のビルが実際に建つ世の中になってきました。
感慨深いです。
以前にはなかったCLTという直交集成板が開発されたのも大きいのでしょう。
環境問題が重要な判断基準になった今だからというのも大きいのでしょう。
佐久間木材が入っているビルは、15年後に木造ビルにしようと思っています。
その頃には今以上に技術開発が進んでいるでしょうから、より本格的な木造化が可能かと思われます。
合板の取り扱いが多い佐久間木材としては、合板製のビルを建ててみたいです。
現在、合板の厚みで最大のもので30ミリ。
これをもっと厚い構造用合板をつくろうというプロジェクトが動き出しています。
日本合板工業組合連合会や森林総合研究所が参画し、林野庁の補助事業にもなっています。
再合板(合板と合板を再度プレスすること)をすれば、今でも30ミリ以上の合板はつくれますが、単板と単板を積層させて一発で厚物をつくるのは難しいのが現状です。
熱っして硬化する接着剤を使用してプレスしていますが、厚すぎると熱が中心層までいき渡らないためです。
ただ、接着剤の性能が格段によくなっていますので、いずれは実現するものと確信しています。
木造ビル一階で佐久間木材が営業している未来が見えてきます、楽しみです。

もしかしたらその頃には、トラックではなくドローンで配達しているかもしれません。
そうなるとビルの一階ではなく、屋上に倉庫ができているかもしれませんね。(文:木材バカ四代)

 第1025話 11.12.2023「結成30周年イベント」

先日の話なのですが、高校生時代に結成したバンドの30周年を記念して期間限定で活動再開しました。
(うっかり自分の年齢がばれてしまいますね)
私は少しの間しかバンドに在籍していなかったのに、誘ってくれた友人に感謝です。
明確にすると30周年は2年前なのですが、コロナ禍もあり、メンバーの中に飲食店経営者が2名いたので、大事をとって延期になっていました。
さて活動内容はというと、ライブハウスやお店を貸し切って皆さんの前で演奏する本格的なものではなくて、練習用スタジオで撮影して、その画像をインスタグラムやYouTubeなどSNS発信するものです。
今の時代、持っているスマートフォン1つで撮影が出来てインターネットに配信出来てしまう。
昔と違って簡単で、低予算で済み、すぐに世界に発信できるなんてすごいことですね。
さてすっかり腕が錆びついているどころか、まともに人前で披露したことがないのですが、エレキギターを実家の押入れの奥から数十年ぶりに引っ張り出しました。
数週間前にこのコラムで「兄貴6」先輩に指摘された断捨離は出来ていませんでした(笑)。
10代の頃にアルバイトして買ったこのエレキギターは、まだ自分も歳が若くてお金も無かったし、材質の木材の知識も全然なかったので、購入の際は木の材質とかではなくて見た目と予算で選びました。
ギターにとって木材は1番大事な部分なのに…
アコースティックギターは、ボディが空洞で音を響かせるとこがポイントなので、比較的柔らかくて弾力があるスプルスのような針葉樹の材質が好まれます。
一方、エレキギターは弦の振動をしっかり伝えるように、硬くしっかりとしたマホガニーとかメイプルやバスウッドのような広葉樹の材質が使用されています。
このレスポールギターを持って早速参加しようと思いましたが、私のあまりのギターの下手さが原因で、私はボーカルのみの参加になりました…
配信した動画はあまり良いものとは言えず、回転数も伸びず結果は散々でしたが、個人的には楽しく満足感でいっぱいです。
また、上記の理由で私の参加は1曲だけで終わってしまったことはここだけの内緒です。(文:くりすけ)

04.12.2023「世界に誇る木造建築物」

世界最大級の木造建築物が建造中です。
しかも、日本国内で今年6月から始まっています。
ご存じの方も多いかと思います。
それは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)会場でシンボルとなる大屋根です。
建築面積は約60000平方メートル。
高さ12メートル。
内径約615メートル。
総工費は、約350億円。
まさに世界最大級の木造建築物。
「多様でありながら、ひとつ」という大阪・関西万博の理念を表すシンボルとなる建築物です。
会場内の円滑な動線を確保する空間であると同時に、雨風や日差しを遮る屋根としての効果があるそうです。
さらには、その屋上にのぼることもでき、瀬戸内海の美しい自然や、万博会場を望むことできるようです。
その工法は、木材をつなぎ合わせる金属などは極力使わず、木造同士を接合させる工法を使うとのこと。
梁(はり)の3分の1は、福島県産のスギが使用されます。
万博閉幕後、この県産木材の梁は再利用もされます。
リング全体も、当初は閉幕後取り壊す予定だったそうですが、保存する意見もでているようです。
2025年に完成した暁には、ぜひ見てみたいですね。(文:ドサンコ)

参考
2025年日本国際博覧会協会プレスリリース
日本経済新聞
日経クロステック
福島民報
時事通信

27.11.2023「くり」

今年の秋は栗を食べましたか?
私は栗が好物の1つで、毎年食べています。
栗は食している部分が「果肉」でなく「種」なのだそうです。
知りませんでした…。
イガから取り出した表面の茶色い部分が果肉です。
またイガの部分は元々葉っぱであると知り、驚き…。
種を動物などに食べられないように葉が進化した結果です。
ちなみにドングリも栗と同じブナ科であり、実を覆う帽子のような部分は元々葉っぱです。
栗拾いに行った経験がある人は覚えがあると思いますが、落ちているイガが空っぽだったことが多々ありませんでしたか?
これは栗の木が自分の意志で落していると知ってこれにも驚き。
木にイガができすぎると全てに栄養が行きわたらなくなり、種がしっかりできなくなってしまうため不要なイガを落とします。
自らの意志で断捨離する栗の木、すごいですよね。
人間でも断捨離ができない人がいるのに…。
空で落ちたイガは販売したりしています。
何に使うのかと思っていましたが、リース飾りの材料としてでした。
栗の木は凄いと思いませんか?
木の部分は木材、種は食料、葉の部分は飾り材として。
捨てる部分が殆どありません。
私は凄いと思いました。
そうそう弊社にも「クリ」というスタッフが居ますが、自らの意志で断捨離できていたっけ?(文:兄貴6)

 20.11.2023「オリーブの苗木」

先日、江東区にある都立木場公園で催された「木と暮しのふれあい展」に行ってきました。
「木と暮しのふれあい展」とは、東京都と一般社団法人東京都木材団体連合会が主催し、木とのふれあいを通じて「木のぬくもり・やわらかさ」や「森の大切さ」を知ってもらい、身近な暮しの中で木を使ってもらおうというイベントです。
今回で40回目となるこのイベント、以前から知ってはいたものの、日時の都合でずっと行けずにいましたがやっと行く事が出来ました。
会場では木材関連の団体が東京の木・多摩産材に加え、日本各地の木材をそろえて、木工作体験や木製品の展示販売などを行っていました。
会場の木場公園自体がとても広い敷地に様々な種類の植物が植えられていて、木を身近に感じられます。
都心では貴重な静かにゆっくり過ごせる場所の一つです。
このイベント、2日間の開催で両日ともに先着各500名にオリーブ又はブルーベリーの苗木が無料配布されるとの事で、今回はそこに狙いを定めて初日に行きました。
しかし、当日に出発するのが遅れてしまい会場に到着した時には既に配布終了…。
仕方なく諦め、イベントを楽しもうと思いました。
しかし、気付けば苗木をゲットできた来場者の手元ばかりに目がいってしまう。
悔しい…。
という事でリベンジを決意。
苗木をもらうためだけに2日目も行ってきました。
配布1時間前に到着し、先頭から30番目くらいに並ぶ事ができ、無事にオリーブの苗木をゲットしました。良かった。
これは枯らすわけにはいきません。
大事に大事に育てていきたいと思います。(文:2号目)

 13.11.2023「板の生命を活かす」

ヴェネチア・ビエンナーレ受賞をはじめ海外で数多くの賞に輝き、“世界のムナカタ”と呼ばれた版画家、棟方志功の番組を見ました。
版木すれすれに眼を近づけて猛烈なスピードで彫っていく映像を見ていると、“憑りつかれた”という言葉が浮かびます。
作品を「版画」ではなく、「板画」だと宣言した棟方。
「板の声を聞き、板の命を活かす」のだといいます。
番組では棟方自身の文章や「白と黒」「裸婦」「文字」などのキーワードで代表的な版画作品の特徴を紹介していました。
東京国立近代美術館で10月6日から「生誕120 年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」を開催しています。
棟方の芸術の形成に大きな影響を与えた青森、東京、富山の各地域の関わりを軸に、「板画」、「倭画(やまとが)」、油画(あぶらが)」や本の装幀や挿絵、包装紙などの商業デザイン、映画・テレビ・ラジオ出演など「メディア」を縦横無尽に駆け抜けた棟方。
ぜひ、会期中に見に行こうと思いました。
また、最近、全く無名だった棟方を見出し、大版画家に導いた人物、柳宗悦の日本民藝館にも行ってきました。
「聖像・仏像・彫像―柳宗悦が見た“彫刻”」として民芸の美を提唱した柳が集めた木喰仏や円空仏をはじめ朝鮮半島の仏像や中国の明器など東アジアの彫像の数々が展示されていました。
このなかにも棟方の作品が展示された一部屋がありました。
実際に見た「板画」のほとばしるエネルギーに、しばし言葉を失ったひとときでした。
こうした棟方の作業に絶対に欠かせなかった「板」。
そしてまた、現在でも情熱を注ぎ込むために板を求める版画家の皆さまが世界中に大勢います。
佐久間木材では、最適な板木をいつでもご用意してお待ちしています!
皆さまのために、これからもよりよい板を届けたい!そんな思いを強くした棟方作品でした。(文:まるこんぶ)

 06.11.2023「お久しぶり(パートⅡ)」

大阪に本社を構えるパワービルダーの会社の研修旅行に久しぶりに参加しました。
東京進出されてからお取引いただいている会社で、かれこれ20年くらいのお付き合い。
研修旅行は最近、コロナ禍で中止されていました。
去年から再開されたのですが、去年は都合により辞退していたので、今年は本当に久しぶりの参加でした。
東京出発組は約50人、東京駅に集合です。
普段は車移動がほとんどの生活なので、東京駅は広く少し迷子になり、他の人も右往左往していました。
本当に久しぶりの新幹線は快適に過ごせました。
車内販売が10月31日で終了との事で、思わず声をかけ飲み物を購入。
あっという間に名古屋駅に到着してそこからはバス移動。
美味しい松坂牛の焼き肉を食べ(マツザカと濁らすと地元の人は嫌がるそうです)、この日の目的地の伊勢角屋麦酒の工場見学ではクラフトビールの飲み比べをしました。
この会社は天正3年(1575年)、船着き場の茶屋として創業し、現在21代目という老舗の会社ということで驚きました。
宿泊した旅館は三重県志摩市の賢島(カシコジマ)で、伊勢志摩サミットが開催されたことで有名です。
それからの宴会は大阪出発組も合流しての約150人での大宴会でしたが「これでもいつもより少ない人数だよ」と幹部の方が言っておられました。
翌日は待望の伊勢神宮参拝。
伊勢神宮と言えば言わずと知れた皇祖(皇室のご祖先の神)天照大神が祭られています。
荘厳な神宮を参拝して身が引き締まる思いでした。
自分という存在が今あるのもご先祖様のおかげだなと、改めて感謝の気持ちを持ちました。
今回は時間の都合上、内宮にしか行けませんでしたが、いつかプライベートで訪れるときには外宮にも参拝して、伊勢神宮について深く知りたいと思います。(文:ゴン)

 30.10.2023「カネが(でて)ない」

そうなんです。
晦日が給料日の弊社では、月末近くになるとお金が足りなくなってしまうのです…
とう話ではなくて(笑)、この場合のカネは「矩」と書きます。
「矩」は業界用語で直角という意味です。
「カネがでてない」とはすなわち合板などの角が90度になっていないという意味です。
おそらくはみなさん、合板の角は直角だと思われているでしょう。
一見そのように見えますが、キチンと計測すると多少のズレが生じていることがあります。
もちろん見た目で分かるほどひどくはありません。
合板を製作していく最後の工程で俗に言う耳断ちという、サンドイッチのパンの耳を切り落とすように、揃っていない部分を切り落とし木口や木端をきれいに仕上げるのですが、その時にしっかりと機械に固定されないでガタツキがあったり、また鋸刃のほうに問題があったりすると発生することがありますし、木材そのものや合板の硬さや反りによっても刃が逃げるという現象が起こり、曲がってしまう場合があります。
極端に申し上げますと、平行四辺形や台形、また弓形になったりすることもあります。
画像の合板は複数枚重ねたシナ合板共芯の長手の中央部分の木口を撮ったものです。
小さくてわかりづらいかもしれませんが、上から2.4.6枚目がわずかに前方にせりだしていることがおわかりになるでしょうか?
4つの角は全て揃っているのですが、この中央部分は1~2ミリずれています。
反対側は逆に1.3.5枚目が飛び出しています。
いわゆる弓形になってしまっております。
ただ本来のサイズは900×1800なのですが、こういったことや角がかけていたりした場合のために合板のサイズは約910×約1820と少しノビがついております。
弊社ではカットのご注文をいただいいた場合、基本的には四方カットをしております。
カット代を安くするために1カット、2カットでというお客様もおられますが、こう言った理由から四方カットを強くおすすめしております。
せっかくご注文をいただいたのですから、ちゃんとしたものをお届けしたい。
お客様におかれましても、ご理解いただけたらウレシイです。(文:正さん)


23.10.2023「木のマイナーな用途」

木の用途はたくさんあります。
人間は木を様々な用途で使ってきました。
一番使われている用途としては「家」ですね。
柱や土台や壁や家具などなど。
それ以外の用途はないかな…と、ずっと考えながら私は生活しています。
その中の一つに、先日出会いました。
「木を、飲む。」です。
木の葉を蒸留してつくられた「水」や「炭酸水」や「ジン」。
蒸留してオイルを抽出するのは最近よく聞きますが、逆に水を利用するという発想はすごいです。
東京駅の八重洲口で実際に飲んできました。
確かに、かすかに木の香りがします。
木の葉の種類によって、違う香りを楽しめます。
可能性を感じますね。
佐久間木材も何かできないかな…。

同じ東京駅のブースで、枝葉で作られた見たことのない「飾り?」を見つけました。
「森のタリスマン」だそうです。
「タリスマン」とは「お守り」という意味。
下記のような説明文がありましたので、一部抜粋させていただきます。
『2020年4月、コロナ禍による緊急事態宣言中に、森のタリスマンはうまれました。
アルコールやマスクが不足して、先の読めない不安が充満していたこ頃、都市でステイホーム中の友人たちへ、少しでも森の気を届けたかったのです。
森には樹木が発するフィトンチッドが満ちています。
それは動くことができない彼らが傷ついたときに、自分自身を守るために発する野生。
わたしたち人間にとっても、浄化やリラックス、そして殺菌、免疫力をあげてくれます。
自然の一部として生き抜く力。
そんな野生の野性ともいえる、美しい気を集めた小さな森を、タリスマンとしてお届けします。
タリスマンには数十年前に植林されて伐期を迎えた木や、間伐された杉や檜の枝葉を使用しています。
水源地で森と人の循環をめぐらせるために、フォレスターたちによって手入れされ伐採される樹木。
その幹は資源として利用されていても、枝葉はこれまで活用しきれずに森に放置されていました。
そんな枝葉をフォレスターたちからいただき、タリスマンは2022年より、森と共にいきる人々によってつくられています。』(諏訪綾子)

素敵な取り組みですね。
ホントに木は有難い。
そもそも木がないと酸素がつくられないので人間は呼吸ができませんしね…。(文:木材バカ四代)


16.10.2023「地球最大の生命体」

 
この地球最大の生命体ってなんだと思いますか?
正解はアメリカのカルフォルニア州コイア・キングキャニオン国立公園にある樹木で、「シャーマン将軍の木」です。
なんと樹齢は2200年と言われていて、生まれたのは世界史でいうとローマ、前漢の時代です。
想像できない長寿ですね。
しかもまだまだ成長しているのだから驚きです。
シャーマン将軍とは、南北戦争の北軍の指導者ウィリアムシャーマンだそうです。
木の幹の直径は11メートルもあり、木の周りを回ると30メートルもあります。
シャーマン将軍の木はセコイアという樹種で、ヒノキの仲間の針葉樹。
耐久性が強く山火事に強い樹皮をもっています。
日本ではこれほど大きな木は見ることができないので、ぱっとイメージが湧きづらいですが、マンガの「進撃の巨人」に出てくる巨大樹の森のモデルだったり、スターウォーズ(エピソード6)の撮影にも使われています。
スターウォーズでは可愛いキャラのイウォークが森の中を駆け抜けるスピード感あふれるシーンで覚えています。
共に私が好きな2作品なので、また見直してみたいと思います日本の一番高い木は京都大悲山の国有林エリアにそびえ立つ「花脊の三本杉」です。
樹齢は1200年ほどで、平安京ができたころに生まれたと思われます。
日本のような地震の多い環境でこれだけの長寿は奇跡です。
興味が湧いてきたので訪問したいと思いましたが、国有林エリアですので入林する際は届け出が必要な場所で、結構な林道らしく、簡単には行けないみたいです。
これだけ大きなご神木、いつかは行ってみたいと思いました。(文:くりすけ)


10.10.2023「柿葺き」

 
白川郷の屋根が茅葺きなのは有名です。
茅葺きはイネ科の植物を使用して屋根をふくこと。
もしくはその屋根自体のことをいいます。
これは有名ですが、それ以外にも伝統的な屋根葺き方法があります。
それは柿葺き(こけらぶき)です。
ヒノキやマキなどの薄い板を何枚も重ねる工法です。
この工法が使われている建物として有名なものは、金閣寺や銀閣寺、もしくは桂離宮などがあります。
なお、この工法は伝統的な方法ですが、日本独自のものというわけではありません。
世界各地で同様の工法があります。
ちなみに、柿落とし(こけらおとし)という言葉は有名ですね。
劇場が新築、あるいは初開場することを意味します。
これは皆さんもよくご存じですね。
では柿(こけら)って何かわかりますか?
こけらとは、材木を削るときにできる木の細かい破片のことをいいます。
削りくずといってもいいのかもしれません。
古くは劇場の屋根を柿葺きにしているなかで、屋根や足場に残った柿(木片)を払い落として完成していました。
そこで、こけら落としが初開場を意味するようになったという説があるようです。(文:ドサンコ)
参考:平凡社大百科事典 精日国語辞典 研和大英語辞典


02.10.2023「同期の実家」

 
空き家になった実家の片付けが終わりました。
THE昭和を感じる部屋もまもなく見納めです。
私と実家は同い年なので思い入れもひとしお、空になった部屋を寂しく眺めていました。
光沢のある柱は年月が感じられて好きでした。
床下は一部の柱が腐りスカスカ、根太も折れていて畳の上を歩くと沈み込みます。
家全体が少々傾いていて、大きな地震がきたら崩壊してもおかしくなく満身創痍の状態。
職業柄か私の痩せ細った体も実家と同じようになってきたのを数年前から実感し、メンテナンスしながら頑張っています。
色々な思いをめぐらせながら実家を見て気が付いた事が!
20数年前に購入した我が家もそうですが、他の家におじゃましても家の中で柱を見かけることが全くありません。
このような造りになったのはいつ頃からなのでしょうか?
私は柱や梁など年月が経つにつれて味わい深い風合いになっていくのを心地良く感じます。
これから建てる家は昔のように柱などが見えるタイプにしてほしいと…。
壁も白い壁紙で覆うのではなく木を使って家の中を木で覆ってほしいと…。
もし新たに家を建てる事があれば家の中も全て木を使いたいと強く思いました。
空になった部屋で思い出や色々な事を考えていたらあっという間に1時間経過。
実家から最後に持ち出した物は懐かしい木刀。
私が小学生の遠足で日光に行き買ってきたお土産。
40数年も残してあったのには驚きました。
自宅に護身用として置いておき、あの世まで持っていこう。(文:兄貴6)


25.09.2023「初めまして」

 
みなさま、初めまして。
今年3月に佐久間木材に入社いたしました新人営業員でございます。
入社から半年が経ち、この度コラムにも仲間入りをさせていただく事となりました。
新人目線で私なりのコラムがお届けできればと思います。この半年、先輩方の丁寧なご指導の元、まずは板材の持ち方や下ろし方など基本から教わって参りました。
そして人生初のフォークリフト操縦はかなりの緊張でした。
材料を一山ゆっくり下ろすだけで全身汗だくだった事を覚えています。
それを横目に繰り広げられる先輩の繊細な操縦テクニックの数々には圧倒されました。
また、板のサイズや厚み、樹種の多さに悪戦苦闘真っ最中です。
入社直後はシナ合板の共芯とポプラ芯の区別もつきませんでしたが、今ではすぐ判断が出来るようになりました。
次の課題は厚さ15ミリと16ミリを瞬時に判断できるようにする事です。
これには少し時間がかかりそうですが…。
前職でも木材を扱っていたのですが、初めて聞く合板の種類、専門用語、木に関してまだまだ知らない事ばかりで日々勉強の毎日です。
改めて木の奥深さを痛感しております。私の好きな樹種の一つに「杉」があります。
ハッキリとした木目と独特な香り。
そして、あのどこまでも伸びていきそうな真っ直ぐな立ち姿。
花粉以外は大好きです。
佐久間木材で仕事をしていく中で、この杉のように、人としてすーっと真っ直ぐに成長していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。(文:2号目)


19.09.2023「出羽三山紀行」

 
先月の夏休みに山形・出羽三山に行ってきました。
出羽三山は羽黒山、月山、湯殿山の総称で、開山から1400年の歴史を誇る山岳信仰の霊場です。
三つの山にはそれぞれ役割があり、羽黒山で現世の幸せを、月山で死後の極楽浄土を、湯殿山で功徳を積み再びこの世に生まれることを願う、と言い伝えられています。
今回の旅の目玉の一つは、山岳信仰の聖地と言われる羽黒山の五重塔!
東北地方では最古の塔、平将門の創建と伝えられ、国宝に指定されています。
まずは出羽三山の玄関口である羽黒山の「随神門」へ。
ここから山頂まで続く樹齢1000年級の老杉が約400本も立ち並ぶ杉並木は、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ツ星に選ばれています。
随神門から10数分ほど歩くと、巨大な杉並木の中にそびえる五重塔が…。
思わず「おおー!」と感嘆の声を上げるほど大迫力の景色が…と、期待して見たその先に!!
【柿葺き屋根改修工事のお知らせ】
2023年(令和5年5月)~2025年(令和7年)春にかけて、柿葺屋根の修繕工事が行われる予定のため、工事期間中は五重塔が幕に覆われます。
がーーーーん! すっっっっごく楽しみにしていたのに…!( ;∀;)
がっかりついでに現地ホテルで調べたのですが、現在の五重塔は室町時代に建てられたもので、同時期に建立された塔は全国に9つありますが、柿葺きの屋根は羽黒山五重塔のみ。
使われる柿葺きの屋根材は約縦30×横10cmの岐阜県産・杉材、1枚2,000円で買って自分の住所や名前を書いて寄贈する事もできるんだとか(買いませんでしたけどね)。
せっかくなので記念に長年の風雪雨に耐えてきた古びた杉板を撮影してきました。
その後、湯殿山でお祓いをしてもらい、お参りし、月山を眺め、霊験あらたかな出羽三山からパワーをもらって、ますますパワフルに生まれ変われる気がします!(文:まるこんぶ)


11.09.2023「久しぶりのビックサイト」

 
何年振りかに行ってきました。
東京ビックサイトで開催された住宅建材展示即売会です。
通算で85回目となるそうですが、私が行かなくなってどのくらい経つのか分からないほど行っていませんでした。
それこそコロナ禍ではオンラインでの開催でしたが、通常に戻り久しぶりに私の重い腰を持ち上げて行ってきました。
やはりコロナ禍が落ち着き、いろいろなイベントが通常に戻り出かけてきましたね。
この展示会は全国規模の会社が主催であることから、全国から人が集まり、出展メーカーも200社以上のイベントです。
以前と違い事前登録が必要にはなっていますが、その点は今後変更してほしいです…。
他のイベントとの兼ね合いのせいか、駐車場に入るにも渋滞で待たされました。
さて会場に入ると、以前のような変わらない雰囲気がして懐かしく思いました。
一番初めに目についたのが新しい足場のシステムでした。
住宅建設の際の上棟の足場のシステムで、女性だけの職人さんグループが上棟の実演をしていました。
最近は建設現場でも多く女性を見かけるようになりましたね。
それから各メーカーの新商品やおすすめ商品を見学しました。
中でも、1.5ミリ厚のリフォームに使える床板は、実演も見せてくれて使いやすそうだなと感じました
各メーカーの担当者との顔つなぎしてくれた弊社の担当さんありがとうございました。
やはり顔を広めるには出歩かないといけないなぁと実感しました。
また次回も参加したいと思います。(文:ゴン)


04.09.2023「木毛」

 
少し前のお盆休みのことです。
近畿地方を縦断し多大な被害をもたらした台風7号の影響により、関東地方も連日のスコールでどこにも出かけられなかった私は、家に引き籠ってひたすらたまったテレビ番組の録画を見て過ごしておりました。
その中のひとつに以前ここでもご紹介させていただいたことがある、NHKの「探検ファクトリー」がありました。
前回は段ボール工場を探検中、「抜型」の映像が流れたというお話でしたが、今回は表題のものです。
「木毛」と書いて正式には「もくもう」と読みますが、番組に出演していた工場では「もくめん」と呼んでいるとのこと。
「もくめん」と聞いてすぐに何か分かる人は少ないと思いますが、モノを見て私は「あーあれかー」と思い出しました。
それは遠~い昔、まだ子供だった頃に見たことのある、高級な果物などの底に敷いてあった緩衝材などに使われていた細くカールした木でした。都道府県別森林率が全国1位の84%の高知県に所在するこちらの工場は、そのふんだんにある資源(松・杉・桧・楠)を使用し「もくめん」を製造販売して、もう60年以上になるそうです。
見た目は簡単にできそうなこの「もくめん」ですが、材料からカットする角度を間違えるとカールしないでまっすぐなままになってしまったり、乾燥し過ぎると割れてしまったり、なかなか熟練された技術が必要なようです。
ですがその後、緩衝材はエアキャップなどの安価な石油精製品に取って代わられてしまい、昭和40年代に120社ほどあった同業者も専任としては今やこちら1社のみになってしまったとか。
数年前、業績が落ち込みつぶれそうな大変な時期に代表になった現社長は経営に苦しみながらも、木の消臭や吸湿効果など「もくめん」としての新たな価値を見つけたのです。
安価な緩衝材というイメージから脱却するため値上げをし、桧はお風呂に、楠はタンスに、杉は靴箱にといった具合に寝具や日用品としての新しい「もくめん」を誕生させました。
さらに最近では、今までムダになっていた桧の枝葉から精油を抽出し桧のエッセンシャルオイルも製作しはじめております。
こちらは枝葉50キロからナント250㏄しか取れない希少品だとか。
今後も、海外展開含めてどんどんチャレンジしていくそうです。
役員2人、社員7人のこちらの会社、とても親近感を感じます。
私たちもまだ気が付いていない木の素晴らしい使い方がもっともっとあるはずです。
ややもすると、勝手に木の限界を決めてしまっていたかもしれません。
大変、勉強になった番組でした。(文:正さん)


28.08.2023「チラシ作成」

 
佐久間木材の近所の上野に東京藝術大学があります。
学生さんを支援したいということと、ご近所にあることにメリットを感じていただきたいということで、送料無料で1枚からお届けしています。
ほぼ毎週のように、学生さんからご注文をいただいています。
先日は105ミリ×105ミリのヒノキの角材をご注文いただきました。
長さはなんと6メートル!
なんでも、お神輿を自作し、その担ぎ棒として使うそうです。
お神輿は東京藝術大学の学園祭(藝祭)でお披露目されます。
藝祭では毎年大きな山車が出るので有名で、その独創的なデザインがとてもいいのです。
コロナでここ数年は中止されていたので、今年は久しぶりに楽しみ。
もうすぐ、9月1日から9月3日まで開催されます。
実は先日、佐久間木材のことを知らないかもしれない藝大の学生さん向けに、チラシを作成しました。
それがこの写真。
実はこのチラシ、社内でコンペして一番評判が良かった社員のデザインを採用したものです。
とてもいい感じに仕上がったと思います。
左下にちゃっかり私が合板を運んでいる写真をねじ込ませてもらいました…。
裏面にはびっしりと価格表が載せてあります。
藝祭を見に行かれる方は、掲示板をご覧ください。
このチラシが貼ってあるかもしれません。(文:木材バカ四代)


21.08.2023「雑巾摺(ぞうきんずり)」

 
先日、直接当店にお引き取りにいらっしゃったお客様から、石膏ボードやら養生板などの他に「雑巾摺(ぞうきんずり)を3本頂戴」と言われました。
あまり頻繁に売れるアイテムではないので少し戸惑いましたが、当店の先輩から置いてある場所などは教わっていましたので、その場はスムーズに対応できました。
さて、雑巾摺と聞いてすぐに和室を想像されたあなたは、住宅に詳しいお方ですね。
雑巾摺とは、和室の押し入れや床の間などに使用され、板と壁に間にある細い見切り材のことで。
寸法は20ミリ×15ミリと15ミリ×10ミリなどです。
雑巾摺の役割は主に二つあります。
一つは、掃除をするときに壁を傷つけるのを防ぐため。
もう一つは、壁と床が接する入隅(いりすみ)の部分の隅間を埋めるため。
建築工法的に、壁と床はピッタリと一帯にはできません。
隙間が開いたままだと見た目も悪いし、埃などのゴミも溜まってしまいます。
雑巾摺があることで隙間を隠しながら埃もたまらない有効なスペースを作ることができるのです。
気温や湿気により床材が伸縮して、たわみを防ぐアソビの要素もあります。
洋室だとサイズは違いますが、巾木がその役割を果たしています。
それにしてもなぜ雑巾摺という呼称なのでしょうか?
そのことを、たまたま近くにいた私の後輩が教えてくれました。
「床や壁を雑巾がけする時に、雑巾の端が擦るからだそうですよ」。
確かに昔は床を掃除機ではなく雑巾で掃除していました。
名前の由来とかを知ると楽しくなりますね。(文:くりすけ)



14.08.2023「木を枯らす方法」

 
最近、一部界隈で木を枯らす方法がにわかに話題になっています。
私も気になったので方法を調べてみました。
まず一つ目は、最近の報道で有名になった除草剤を使う方法です。
まずドリルなどを使って幹に数カ所穴を開けます。
このとき、斜め下に向かって穴をあけます。
そこにスポイトや漏斗を使って除草剤を流し込みます。
その穴をラップやビニールなどで雨などの水が入らないようにします。
後は枯れるのを待ちます。
草などと違い、木の場合は枯れるまでに一年近くの時間がかかるようです。
二つ目の方法は、木の表面を剥ぐ伝統的な方法です。
「巻き枯らし」という名前もついています。
木は、土からの栄養や水分を、表面の樹皮を通して吸い上げて葉や枝に渡らせます。
そして、葉で光合成されて作られた栄養が、ふたたび樹皮を通して根に戻ります。
そのサイクルを、樹皮を剥がすことで妨害するのです。
まず、ノコギリなどで一センチ以上の深さの切り込みを、木の幹一周にかけて入れます。
その数十センチ下にさきほどの切り込みと同じものを入れます。
一本目と二本目の切り込みの間に、今度は縦の切り込みをいれます。
縦の切り込みから、樹皮をカツラむきするように剥がします。
これも枯れるまでは一年近くの時間がかかるようです。
三つ目は、ロープを使った巻き枯らしをすることです。
これは、理屈は二つ目の方法と同じです。
ですので、ロープを強く巻くことです。
そのロープを木が巻き込みつつ、食い込むことで木が枯れていきます。
時間はいままでの方法の中で最も時間がかかり、二年ほどかかるようです。
以上の方法は、木の大きさや樹種、周りの環境などについての経験や詳しい知識が必要です。
何より、作業者自身や木の周りの人への配慮も必要です。
思わぬ事故などを避けるためにも、まず業者さんへ相談することをおすすめします。
いやいや、おすすめしません、木は枯らさないで大事に育ててください。(文:ドサンコ)

07.08.2023「我家のDIY?」

妻が何かDIYらしきことをしているのを発見しました。
幅150ミリほどの木材を数本、ホームセンターでカットしてもらったと。
気になり木材を見ると、ホワイトウッドで結構反っていました。
さらにカットされた木材は微妙に長さが違う。
棚を作るらしく、考え込んでいたのですが、私は見守ることに…。
2週間が経過しましたが、塗装した板がまだ放置されたままに…。
その数日後に完成。
しかし翌日には解体されていました。
なぜ?と聞くと、中にはめる板が上手く入らないとのこと。
どうやら接着剤で板と板を止めてから作らなかったようで、釘を打つ時に板がズレてしまった様子。
休みの日に手伝うはめに…。
板の反りの山方向が外側にくるようにそろえて釘を打ち完成。
妻は満足してくれた様子です。
作りたいと先に言ってくれていれば、全部やってあげたのに…。
材料代は佐久間木材の端材を利用すれば無料だし、カットは超プロだし。
完成した棚よりも良い物ができたのに…。
今後は相談してもらいたいけど、してこないだろうな…。(文:兄貴6)


07.08.2023「そりのあるかたち」

  先日、元東京芸術大学学長の彫刻家・澄川喜一さんが亡くなったというニュースを聞きました。
その時は「ふーん、そうなんだ」ぐらいにしか感じませんでしたが、その澄川先生の代表作が木を使った彫刻「そりのあるかたち」と聞き、なぬ?!と驚きました。
普段電話でお客様から合板の発注をお受けしているわけですが、お客様の希望で「なるべく反ってない板をちょうだいね」と言われます。
ご存じの通り木が材料ですから、全然反ってない板なんてありえないし、その時反っていなくても温度や気候、保存状態によって反ったりねじれたりするってのが合板です。
その殺し文句を言われると「ムチャ言うな~」って心の声が口から出てしまいそうになります(^_^;)。
そんな私たちが常に悩まされている「そり」とはちょっと違いますが、「そりのあるかたち」をテーマに美しい曲線を描く彫刻を追求してきたのが澄川先生だったというわけです。
先生の代表作と言われる「そりのあるかたち-1」は、ケヤキの木を削り、シャープな曲線の形を組み合わせ、空間を切り裂くような鋭さのある抽象彫刻。
当時無名だった澄川さんはこの作品で認められ、大きく羽ばたきました。
「粘土は何度でも直せるが、木彫はそうはいかない。一気にスパッとやらないと。ズバッとできるのが木で、それがいい」と先生は言います。
なるほど、だいぶ潔くスパッと制作されていますよね。
近年では、日本刀のようなそりを生かしたスカイツリーのデザインを監修、日本の最高峰である芸大の学長も勤め、彫刻芸術の世界で活躍されました。
また澄川先生は、大学に入る前から木彫に興味があり、山口県・岩国市の高校に通われましたが、下宿先の近くに日本三名橋の一つ、錦帯橋があったんだとか。
錦帯橋はヒノキやケヤキといった何種類もの木を巧妙に組み合わせており、その造形や柔軟性に強く魅了され、5連のアーチからなるこの橋の美しさに一目惚れ、毎日のように散歩したり、スケッチしたといいます。
うーん、いずれ錦帯橋は見てみたいと思っていましたが、このエピソードを聞き、ますます気持ちが盛り上がってきました!(文:まるこんぶ)


24.07.2023「知らない木」

先日とある仕入れ業者さんからサンプルをいただきました。
その業者さんとのお付き合いは古いのですが、仕入れている商品は決まった商品ばかりでした。
それは、店舗の什器や家具を造る時に使用する芯材で、寸法は長さ3000ミリ×巾50ミリ×各厚みの棒材です。
材質はペルポックという樹種で、適度な硬さと反りの少ない素直な木でしたが、近年は入手困難になり、計画的に植林されている柔らかい木に替わってしまいました。
お客様の中には「ペルのほうがよかったよ」とよく言われましたが、何とか使っていただいています。
さて、サンプルのことに話しは戻ります。
写真にあるように18種類もの樹種のサンプルです。
なかには全く耳にしたことのない樹種もありました。
気になって調べてみました。
「コト」:西アフリカ原産のホワイトマホガニーと呼ばれている木。
「ブラックビーン」:パプアニューギニア、オーストラリアゲン原産で、胸高直径は1mを超えるが生育数は少ない。
「ホワイトビーチ」パプアニューギニア原産で、よく聞くアメリカンビーチより白い。
ビーチ材にも種類があることを知りました。
などなど多数のサンプルをいただきました。
今まで取り扱ったことのない樹種もあり、家具屋さんや木工屋さんに紹介して使ってもらいたいところです。
それにしても木によっていろいろな表情があり個性があります。
人と同じです。
ちなみに写真を見ただけで樹種を当てられる人は木材博士になれますよね。
そうなれるよう今後も精進です。(文:ゴン)


18.07.2023「間伐は是か非か」

いよいよ夏本番といった季節に突入しましたが、みなさんお元気でしょうか。
そんな暑さの中、最近よくニュースで見るのが日本全国各地でクマが出没したという報道です。
札幌ではヒグマの出没数が例年の1.5倍のペースになっているそうで、市内の住宅街をフツーに歩いているのだとか、いやいや怖い怖いですね。
その原因として、「人間に山を開発されてエサや居場所がなくなったから」とよく言われますが、果たして本当にそうなのでしょうか。話は変わりますが、今まで東日本広域担当だったので、よく上越、東北新幹線には乗っていましたが、先日久しぶりに東海道新幹線に乗る機会がありました。
座席に腰掛け、ふと前を見るとシートポケットに挟まった車内誌より「瀕死の林業」という文字が飛び込んできました。
その内容は複数の専門家の方々が、林業再生のためのそれぞれのご意見を述べておられるものでした。
JR東日本様も同様な車内誌が置いてありますが、こういった社会的な問題となるテーマなどを載せていた記憶はあまりなく、とある町の観光案内的な内容ばかりだったと思います。
早速、手に取り読み進めていくなか、ある林野庁OBの方のご意見にハッとしてしまいました。
「間伐をすることで森林の価値を下げることもある」というのです。
その方によると、無間伐によるメリットとして…
① 本数・材積量が多い。
② 単木の成長が悪いため年輪が密である。
③ 枝が枯れあがって高級な無節材が取れる。
④ 太さのバラツキが多く用途が広い
⑤ 間伐時に起きる樹幹の損傷がない。
⑥ 林冠が閉鎖して隣接木が枝同士で支え合うので風害に強い
対して間伐には…
① 作業経費の増大
② 残存木損傷のリスク
③ 安全作業上のリスク
④ 風害のリスク
メリットとしては、通直な木が揃っていて光も入り、下層植生が豊かで見た目は美しい森になるが、それに目を奪われてはいけないとおっしゃっております。
さらに、行政では間伐を…
① 下層植生の発達による土砂流出防止
② 材積増加による地球温暖化防止
などの効果があると言っているが、科学的根拠に乏しいとバッサリ。弊社においても間伐材から作られたさまざまな商品を取り扱っております。
世間一般には間伐材=環境保全という大定義があると思います。
問題なのは、正しい間伐が行われていないということです。
行政からも、山を守るために各自治体に補助金が出ております。
補助金もらったからやらなきゃと、知識や技術に乏しい人たちで行われている間伐が少なくなく、中にはどうやったらいいのかわからないため、何もせずそのままプールしている自治体もあるとか。
まだまだ問題山積です。(文:正さん)


10.07.2023「森に対するイメージの違い」

  「森」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?「怖い」とか「暗い」とか「虫」だとか、悪いイメージでしょうか?
「涼しい」とか「空気が気持ちいい」とか「落ち着く」だとか、良いイメージでしょうか?
人それぞれだとは思いますが、国によっても違いが出てくると思います。
例えばドイツだと、森に対するイメージは日本よりも良いようです。
「森林浴」なんかもよくしているようですが、日本ではあまり流行りませんね。
ドイツには「森林官(Foerster)」という職業があり、なんと医師やパイロットと並んで子供に人気の職業だそうです。
ドイツは日本の2倍以上の国産木材を伐採、供給し多様な生物を育む豊かな自然も残す…という、経済合理性と持続可能性のバランスを保っているのだとか。
住んでいるエリアと、森のあるエリアが近いというのもバランスの良さですね。
日本も森林大国ではあります。
森林率(国土面積に占める森林面積の割合)でいうと、日本は68%でなんと主要先進国でいうとフィンランドに次いで世界第二位。
ドイツは31%なので、日本のほうが森は身近なはずです。
私は東京の下町育ちなので全然「森」は身近ではありません。
その代わり、「鎮守の森」のある神社は身近な存在ですが…。いずれにしても「森林官」が子供に人気の職業だとは素敵です。
日本で「材木屋」が人気の職業になる努力をしなくては…。
少なくともうちの子どもたちに…(汗)(文:木材バカ四代)


03.07.2023「下駄」

  83歳になる両親と、できるだけ会話をするようにしています。
両親がコロナ禍で好きなところに出かけられなかったことや、知り合いや友人に会えなかったり、ストレスが溜まっていると思い、せめて家族の中で自分くらいは話をしようという、私の勝手なおせっかいです。
両親の話の内容といえば、もっぱら両親自身が子供の頃の昔話がほとんどです。
両親が生まれたのは戦時中で、しかも貧しい農村の出身ですので、今の日本の現実とはかなりかけ離れていて、私には興味深い話が多いです。
先日は、母親が小さいころに履いていた靴(下駄)の話でした。
「小さい頃に履かされていた下駄が冬は寒くて…」という内容でした。
女の子なのに冬でも下駄を履かされていたのもビックリでしたが、親戚に下駄屋さんがいたという事実も戦中、戦後の時代を感じます。
(ちなみにその後 下駄屋さんは靴の踵屋さんに変わって現在も営業されています。)
母が履いていたのは杉が材質の下駄だったそうです。
今の下駄の多くは柔らかい桐の材が使われていますが…。
桐ほどではありませんが、杉も柔らかいので、下駄には向いているのでしょう。
特に大分県の日田市の日田杉の杉下駄は有名だそうです。
下駄を履いたことがない私は、いろいろ調べていくうちに欲しくなってきました。
今年はコロナ禍が明けて、夏から沢山の花火大会が復活します。
隅田川の花火大会も今年は3年ぶりに開催されます。
着物(甚平)を着て下駄も履いて、日本の花火を楽しむのも良いですね。
もちろん、今後も両親の話を聞くのも継続していきたいと思います。(文:くりすけ)

26.06.2023「阿蘇くまもと空港」

  先日、九州へ出張に行きました。
その際に、阿蘇くまもと空港を使いました。
改修が終わってから初めて行ったのですが、びっくりしました。
内装に木がふんだんに使われていたのです。
とても落ち着いた雰囲気で居心地がよかったです。
熊本県内から杉や檜を集めたとのことで、天井やイスなどにそれらが使われていました。
ちなみにその一部は、東京オリンピックへ熊本県から提供されていた木材なのだそうです。
オリンピックで使われた材料が、レガシー材として戻ってきているのだとか。
ちなみに国内では、ほかにも秋田空港なども、ターミナルビルの内装に秋田杉が使われています。
さらには、屋上にウッドデッキも設置されています。
屋上にウッドデッキが設置されている空港としては、羽田空港や伊丹空港もあげられます。
世界に目を向ければ、シンガポールのチャンギ空港やフィンランドのヴァンター空港も木を使った内装で有名なようです。
木を使うことで、空港内が柔らかく落ち着いた雰囲気になること期待できます。
また地元の木を使うことで、木材以外の建材を使用するよりも、製造や建設時などに発生するCO2は少なくすることができるでしょう。
さらには、地元の林業のエコシステムや経済自体を活性化することも期待できるのではないでしょうか。(文:ドサンコ)参考
FNNプライムオンライン
阿蘇熊本空港
ウッドデザイン賞データベース


19.06.2023「マザーツリー」

最近は老眼が進み、あまり本を読んでいませんでした。
でも、どうしても読んでみたい本があり、久々に購入。
かなり分厚い本ですが、一気読みしちゃいました。
その本は「マザーツリー」。
森林に関する本ですが、木に対しての考え方が変わりました。
木々はネットワークで繋がっているなど、色々な驚きも。
昨今のニュースで報じられている親族関係の悲惨な事件を見ていると、木々たちは人間よりも素晴らしいのではないかと思います。
人間は木々を見習うべきです。
マザーツリーを最後まで読み進めると、切なくなりました。
詳しく説明すると長文になってしまうので、読んでのお楽しみください。人類が誕生したのは自然界の営みからです。
人類より先に誕生した自然を破壊し続ければ、結果は明白。
木に関わる人々には是非とも読んでいただきたい一冊です。
きっと木に対しての考え方が変わると思います。
もとから木が大好きな人は、もっと木が愛おしくなるでしょう。
ちなみに映画の「アバター」に登場する魂の木は、マザーツリー筆者の研究が元になり誕生したそうです。
魂の木が気になるので「アバター」を鑑賞しようと思います。(文:兄貴6)


12.06.2023「五浦六角堂」

 
先日、私の趣味の一つである美術館巡りで、近代美術館の「重要文化財展」に行ってきました。
そこで、日本画壇の巨匠・横山大観の「生々流転」を見た時、ふと思い出した事があります。
2年程前、横山大観が生涯の師と仰ぐ岡倉天心が北茨城市に建てた六角堂に行った時のことです。
六角堂は、新天地を求めた天心が明治38年、自らの設計により邸宅と六角堂を建築し、翌年には横山大観らを呼び寄せ、家族らと共に移り住み創作活動に励んだ場所です。
我が社がここ浅草に創業したのも同じ年、何か不思議な縁を勝手に感じてしまいます。
近代化著しかった東京を離れ、40歳で移り住んだ自然豊かな五浦は、天心の人生の第二のスタートラインであり、新たな思想の発信地とも言われています。
太平洋に臨む岸壁の上に立つ六角堂には、三つの意図が込められていると言われています。
まず、杜甫の草堂である六角亭子の構造、朱塗りの外壁と屋根の上の如意宝珠は仏堂の装い、内部に床の間と炉を備えた茶室としての役割。
つまり六角堂には、中国、インド、日本、つまりはアジアの伝統思想がひとつの建物全体で表現されているのだと言います。
景勝地に建つ独特な風情を予想しても、見てみたい!と感じてしまいますよね。
実はこの六角堂、断崖に建設されていた為、東日本大震災の津波の直撃を受け、土台のみを残して流されてしまいました。
しかし国の復旧予算に加え、多くの人々の寄付金によって、一年後の2012年に創建当初の姿で再建されました。
写真は六角堂を再建する際、使われた福島・いわき市から切り出された樹齢150年の杉の丸太の断面です。
見た瞬間、「なにこの杉、赤身ばっかり!」と驚いて撮影したのですが、杉の赤身は水に強く、舟や土台に使われていましたから、海辺に建つ六角堂にふさわしい!と、頷けます。
この丸太の赤身からは6本の柱がちょうど切り出せ、海辺に建つ六角堂には最適の木だと採用されました。
樹齢150年というと、奇しくも岡倉天心と同じ時代に生きてきた杉で、六角堂を再建することになり、岡倉天心も喜んだ事でしょうね。(文:まるこんぶ)


05.06.2023「リアルマスク」

 
今から約29年前の1994年7月に、アメリカで公開された「マスク」という映画をご存じですか?
地上波でも何度も放映されているので、ご存じの方も多いと思います。
俳優のジムキャリーが気の弱い冴えない銀行マンを演じた物語です。
その主人公がひょんなことからマスクを手に入れて、そのマスクをつけると変身してスーパーマンになって悪党をやっつけて、ヒロインとも結ばれるという、コメディで勧善懲悪な映画でした。
そのマスクではないですが、興味深いニュースを見つけました。
それは、大阪府東大阪市の西岩田遺跡から3世紀前半の木製仮面が出土したというニュースです。
3世紀前半ということは、1800年前です。
朽ち果てることなく写真のように発掘されるなんて、改めて木の凄さを感じます。
洪水の堆積層から出土したのが良かったのでしょうか?
桶や炭化した鍬などの木製品も一緒に出土したそうです。
この発見は国内3例目だそうで、農耕儀礼で使われていたと見られていますが、本当は違う目的で使っていたのかな?などと考えるとワクワクします。
また、この仮面は杉の木で作られているとの事で、そこでも木の凄さを感じます。
写真のように鼻の周辺を削っていたり、目や鼻は穴を開けたりという加工はどのような道具が使われていたのかなど興味がわきます。
現代のように電気や工作機械があるわけではないですからね。
大昔の暮らしはどのようだったのか?現代のようなストレスもなく、のんびりと暮らせていたのだとしたら、羨ましくもあります。
貴重な文化財ですが、マスクを最初に見つけた人は絶対に顔に付けただろうな…なんて事を思いつつ、リアルマスク発見のニュースでした。
あなたの周りにスイッチが入るとスーパーマンになる人がいれば、マスクを付けているかもしれないですよ。(文:ゴン)


29.05.2023「春は別れと出会いの季節」

 
すっかり初夏のようになってきた今日この頃ですが、みなさんお元気にしてますでしょうか?
ちょっと前の話になってしまいましたが、弊社では表題のようなことがありました。
この春、40年以上に渡って長く勤められた大先輩が退社され、以前のコラムで代表もさらっと触れておりましたが、私より二回りも若い新しい仲間が加わりました。
しかも二人も!
数年ぶり、いや数十年ぶりかもしれません。退社された方はもちろん私の入社時からおられ、一番トシが近い先輩でもありました。
とても人懐っこい方で、誰にでも気さくに声をかけられ、いつもニコニコしておられました。
「Akio」の名で当コラムを続けること約20年、内容にもそんなお人柄が垣間見えていたと思います。
なかなか、後任が決まらなかったこともあり古希を過ぎてもまだ頑張っていただいておりました。
本当に感謝です。
ありがとうございました、長い間大変お疲れ様でした。一方、新しい仲間たちも月日がたつにつれ、徐々にたくましくなってきております。
二人とも木を扱うお仕事経験者ということで、非常に呑み込みが早いと感じております。
一人は家具の販売、もう一人は木工所にいたということで、先日もフォークリフトに何度も当てられボロボロだった作業テーブルを非常に手慣れた様子でちょちょいと、とてもキレイな新品のようにあっという間に直してくれました。
私自身あまり器用なほうではないため、元プロの木工職人の鮮やかな手さばきに惚れ惚れしてしまいました。
今までは素材を売りながら簡単なアドバイスしかできなかった私たちですが、これからは製作に関しても専門のスーパーアドバイザーが誕生したことはうれしいかぎりです。
もしかしたら今後、家具のオーダーメイド販売もはじめられるかも?!
まもなくそんな二人のコラムも登場予定ですので、みなさん乞うご期待ください。(文:正さん)


22.05.2023「旅先で出会うLVL」

 
昔、旅をしていた時、エジプトで出会った人にケニアで再開したり、タイで会った人にベトナムで再開したりすることがありました。
バックパッカーが辿るルートや安宿って、ある程度決まっているので、そんなに珍しいことではありません。
お互い「や~、どうも」くらいな感じです。
ところが先日の再開はうれしくてテンションが上がってしまいました。
うちの商品、杉LVLと広島県の生口島で再開したのです。
しかもとても上手に、カッコよく、杉LVLの魅力を引き出した使い方をされていたので、喜びも倍増です。
この生口島は、前日に行くことにしたので予備知識ゼロだったのですが、すごくいい島でした。
レモンの生産量日本一だそうです。
また、ファッションブランド「アニエスベー」がバックアップして生口島とコラボしていました。
古い街並みとおしゃれなデザインがいい感じで溶け込んでいます。
フェリーの船員さんがみんなアニエスベーのTシャツやキャップをかぶっていたり、フランスのおしゃれな自転車がレンタルされていたり、ワークショップがあったり、尾道レモンラーメンやレモン手羽先があったり…。
それもこれも、杉LVLがつなげてくれたご縁かもしれません。
そういえばバックパッカー時代にエジプトとケニアで出会ったDさんは広島出身。
その後ベトナムに移り住み、数年前に広島の実家に帰国したそうです。
今回の尾道での旅では再開できませんでしたが、今度会いたいな…。
30年会っていないのでお互い変わっているはず…。
木材のようにいい感じに経年変化しているといいけど…。(文:木材バカ四代)


15.05.2023「ゴールデンウィーク」

 
今年のゴールデンウィーク後半は当初は友人と出かける予定でした。
ですが急遽キャンセルとなり、予定をなくした私は地元の埼玉県の観光スポットをめぐることにしました。
まずは埼玉県さいたま市の岩槻区にある木の博物館「木力館(きりょくかん)」です。
以前からお客様への配達の時に看板を見ていたので、「いつか行ってみよう」とずっと思っていました。
ゴールデンウィークだけど営業されているかと気になりながらも無事に到着。
自宅からは車で30分くらいの距離です。
現地に着いて、誰もいないと思ったらその日は閉館日でした…。
ただ、私の車の音に気付いていただき、隣の建物にいらっしゃった館長が出てきてくれました。
どこから来たのかを館長に聞かれ、お伝えしたところ、ご親切にも特別に開けてくれました。
木力館はすべて国産天然木の無垢の材料で作られている、六角形の非常にかっこよい建物です。
断熱材は使わず、壁や床そして窓枠さえもすべて木でできています。
建物の中は木の良い匂いとともに、天井まで続く吹き抜けの空間が圧巻です。
天然木のすばらしさをご講義いただき、建物に使用されている沢山の種類の木材を拝見しました。
なかでも、普段柱に使用される材ではないポプラの大きな柱にはびっくりしました。
また、併設されていた大忠さんの丸太・角材などを製材する機械も見学させていただきました。
最後に、写真の無垢の木で出来た栞をいただきました。
大槻館長、本当にありがとうございました。(文:くりすけ)


08.05.2023「白樺の生存戦略」

 
生物学の用語で、先駆種(せんくしゅ)という言葉があります。
植物の生育にとって極めてきびしい環境である裸地へ、最初に侵入する植物のことをいいます。
これらの植物の種子は、綿に包まれていたり羽根がついていたりするために、数キロ先まで飛んでいくこともできます。
飛んでいった先で、太陽の光を求めての競争に勝つべく、とにかく早く成長します。
代表的な例として、ポプラやシラカバがあげられます。
ブナやモミは、一年の生長がミリ単位ですが、先駆種は1メートルを超えることも珍しくありません。
こういった特徴があるので、先駆種が届いた場所は全くの荒れ地であっても、10年もすると森が形成されます。
森は、草花や草食動物にとっても魅力的な場所であるため、森が形成されるとそれらによる生存競争が始まります。
そのような状況での先駆種の生存戦略は、次のようなものです。
先駆種の生育は、縦だけでなく幹もかなりの早さで太くなり、荒い樹皮で身を包みます。
特にシラカバは白い樹皮が裂けて黒いかさぶたになります。
このかさぶたは、とても堅いため草食動物では文字通り歯が立ちません。
また樹脂を多く含むために食べたとしても美味しくないそうです。
さらには、シラカバの樹皮にはベツリンという物質でできており、これはシラカバの樹皮が白い色の理由となっています。
白い色は光を反射し、幹が日焼けするのを防ぎます。
冬に暖かい日光が樹皮に当たると、幹の温度が上がりすぎて膨張し、裂ける可能性がありますが、色白のおかげで温度上昇が避けられます。
先駆種であるシラカバは、孤立した場所に木が生えることが多く、ほかの木の陰に隠れて日光をさけることができないために、このような手段をとっていると考えられています。
ほかの木々は、先駆種のように孤立して成長しないため、ほかの木と栄養などを融通し合うため、ベツリンを増やすことに全力を注ぐ必要がなく、ゆっくりと幹や葉を育てて、実をつくることができます。
孤独に生きる先駆種は、すべて自前でなんとかせざるを得ず、全力でベツリンを生成しつつ、生き急ぐように成長して、身長がそれほど高くなるまえに死んでしまうようです。
いろんな生存戦略があるものです。(文:ドサンコ)参考
日本植物生理学会
『樹木たちの知られざる生活』ハヤカワノンフィクション文庫


01.05.2023「髪に木を」

 
大好きな番組の1つであるクレイジージャーニー。
先日は少数民族写真家である吉田ナギさんの放送でした。
アフリカのムイラ民族を捜して写真を撮るという番組内容だったのですが、衝撃を受けました。
それはムイラ民族のファッションです。
写真でも分かりますが、髪の毛が茶色く太い部分があります。
これは、樹皮を水でふやかし砕いて髪の毛に塗り付けたものです。
こんな使い方もあったのかとビックリしました。
どんな樹種を使用しているかは説明がなく、調べてみましたが残念ながら分かりませんでした。
山中で暮らす少数部族は、生活の中で色々な木の使い方をしています。
私が知らない木の使い方が、まだまだ数多く存在するのだと思い知らされました。
髪の毛に木を塗ると、どんな感触なのですかね。
体験してみたいとも思わないですが…。
今後、この髪型が世界で流行る事もあるかな?
ヘアーワックスで木から採取した天然成分由来の物もある時代です。
髪の毛に良い成分が大量に含まれていれば、流行する可能性はなきにしもあらず。
美容室やエステで髪の毛に木を塗る時代が来るかもしれません。(文:兄貴6)

24.04.2023「どろ亀さんと原生林」

 
どろ亀さんこと高橋延清さんは、北海道・富良野に広がる東大演習林で林長として長きにわたり林学の研究に携わった森林学者です。
当サイトの「社長おすすめ書籍」で「森に遊ぶ―どろ亀さんの世界」を紹介していますね。
先日、どろ亀さんが出演された約40年前の古い番組を見ました。
東大演習林は、森林や樹木、林業に関する基礎的・応用的研究を行う場です。
その林長としてのどろ亀さんの役割は、人間がいかに効率よく木材を森から取り出せるか?という経済直結の研究が主でした。
樹齢200年を越えるエゾマツやトドマツなどの針葉樹、400年近いカシやナラなどの広葉樹がある原生林で、どろ亀さんは40数年生き、その目を通した森の姿を描いていました。
昭和56年、どろ亀さんが「先生」と呼んで長年慕っていた樹齢400年を越えるエゾマツが台風で倒れ、夜中にその木を見に行った時の事です。
倒れたエゾマツから「森は必ず蘇る、たいした事はないよ」という声が聞こえたそうです。
またどろ亀さんが生まれ変わったら何になる?と聞かれたとき、「きつねやタヌキや鳥ではなく、森に何百年も動かずいられる樹木に生まれたい」と語った姿がとても印象的でした。
何十年も森に生きてきた人…さすがです。
わが木材業界は昨今のロシアのウクライナ侵攻で多大な影響を受け、今もウッドショックという形で続いています。
また、昨今の地球温暖化による異常気象で、世界各地で山火事被害も多発しています。
私たちにとって必要不可欠な木材は現在、さまざまな要因から「SDGs」持続可能性が不安視されています。
しかし漠然とした木材の将来的な私たちの不安を、この番組は少し軽減してくれました。
番組中どろ亀さんは「森の神様」について語っていましたが、「経済」としての木材の重要性と共に、「自然」としての木という視点がこれからのわが業界にも必要なのでは?と考えさせられました。(文:まるこんぶ)


17.04.2023「チャンスを活かせ」

 
最近の新聞に木材好き人間にとって嬉しい記事が掲載されていました。
それは「国産木材復権のチャンス」という記事です。
記事によると、不動産会社やゼネコン各社が国産木材の調達や加工に力を入れているとのことです。
その理由は、木材の高騰で調達が困難になり、不安定な状況であることが挙げられます。
昨今、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻に伴う経済制裁で、流通が乱れている状況なのです。
ある大手の会社では、300ミリを超える大径木を主に使うことでコストを抑えたとのこと。
一般的に木は大きい方が値段が高いのですが、200ミリ程度のよく使われる木材より2割程度安くなるそうです。
昔と違い、大径木はあまり使い道がなくなってしまったので、需要と供給のバランスの問題ですが、不思議な話です。
また、昨年11月に、ハウスメーカーなど約30社により国産材活用に関する協議会が発足されました。
国産木材のサプライチェーンの整備や普及活動を行うという取り組みも始まっています。
それから、強度に個体差があるという木材の弱点を克服した新素材「CLT(直交集成板)」はコンクリートに匹敵する強度を実現し、大規模木造建築を可能にしています。
最近街中の大きめな建築中物件でも、注意してみるとCLTに限らず木材がよく使われているなと感じます。
残念ながら私はまだ大規模物件やCLTを取り扱ったことがありません…。
国内林業は林野庁の調べによると、丸太の販売金額から経費を差し引くと、森林1ヘクタール当たり300万円の赤字になり、補助金がなければ立ち行かない状況になっているとのことです。
また、担い手不足が深刻な問題になっています。
そのため、ドローンの活用や草刈り機などの機械に取り組んでいるそうです。
先進国の中でも高い森林率を持っている我が日本なのですから、それらの取り組みが成功してチャンスを活かして林業が盛り上がってくれれば、地方活性化にもつながって良いなぁと思う今日この頃です。(文:ゴン)


10.04.2023「パーチでバーチで国産バーチ」

 
一昨年から昨年にかけてのパーチクルボード…
昨年から現在にかけてフィンランドバーチ合板(ホワイトバーチ合板)…
この2つは共に長期間欠品中です(でした)。
バーチ合板に関しては現在もなお継続中で、もしかしたら今が一番ひどい状況かもしれません。
欠品理由につきましては、youtubeのほうで当店代表が詳しくご説明しておりますので、そちらをご覧ください。
そして、その代わりにおススメしたい商品が安心の国内材料調達、国内工場生産の「白樺間伐材合板」です。(姉妹店@合板にて販売中)
ただ、同じカバではありますが、いくつか違いがありますのでご説明します。
まず、大きな違いはサイズです。
バーチ合板は4×8のみ、白樺合板は3×6のみ。
小さなサイズでご使用の際は白樺間伐材合板のほうがお得ですね。
また重さですが、バーチ合板は厚18でも重量が約40㎏になり、加工する時に一人で振り回すのはかなりタイヘンです。
次は木口(板の側面)についてですが、バーチはフェノール系接着剤を使用しており、その接着強度も非常に強く木口に濃い色のライン(接着剤の色)が美しく出ております。
一方、白樺のほうは一見共芯と見分けがつかないほどあっさりした木口。(木口にこだわりたい場合はペーパウッド合板という手もあります。)
そして実は、表面の表情が最も違うところかもしれません。
木目の流れる方向がバーチは通常の逆(幅方向)で、のっぺりとした均一な乳白の色合いです。
それに対し白樺は通常の長さ方向に木目が走り、赤身が混じった大胆な色合い(画像参照)。
並べてみても同じものが2つとない、非常に個性豊かな表情(表面)です。
たまに左側のようにほとんど白い感じのものもありますが、それはそれでまたいいのでは…。
個人的には断然白樺オシです。
ただひとつ、ある程度の量のご注文になると、ほぼ受注生産になってしまうため、1~2ヶ月お待ちいただくことになってしまいます。
それでも、現在のバーチの状況よりはかなりマシなのではと思います。
是非是非、ご検討ください。(文:正さん)


03.04.2023「大工半減」

 
4月は新入社員の季節です。
一足早く、当店では1月と3月に新しく入社してくれた仲間ができました。
うれしく、今後が楽しみです。
ご存じの通り、日本の人口は減り続けています。
人口が減れば、市場が小さくなり、企業数も減ります。
材木屋の数も減り続けています。
また、大工の数も減り続けています。
現在、大工は30万人弱と言われていますが、過去20年で半減したそうです。
40年前と比べると、3分の1になってしまっています。
減るペースが速すぎて、住宅修繕の停滞が懸念されています。
いや、今もう既に停滞しています。
数が減っているだけでなく、若者が新たに大工になる人数が少ないので、どんどん高齢化しています。
大工は一人親方と呼ばれる個人事業主が主なので、政府が進めるインボイス制度が足かせになる可能性もあると思います。
また、政府は空き家対策をすすめていますが、大工さんにリフォーム工事してもらわなければ、住むことができません。
今後、国を挙げて大工を増やしていく必要があるのではないでしょうか。
それには、待遇改善が必要です。
モノづくりに対するリスペクトも必要です。
若者の将来就きたい職業の上位が「会社員」だったり「ユーチューバー」だったりする国に未来はあるでしょうか?
(うちでもユーチューブやっていますが…汗)
当店もこの問題に関して、真剣に取り組んでいきたいと思っています。(文:木材バカ四代)


27.03.2023「カバザクラ」

 
今年も春がやってきました。
新学生、新社会人の皆様おめでとうございます。
皆様のこれからのご活躍を期待し応援しております。
さてこの時期といえば桜。
コロナ禍も明けて今年は数年ぶりにお花見に行かれる方も多いのではないでしょうか?
ネットとか雑誌とかで「行くべきスポットベスト○○」だとか、「日本3大○○」などというフレーズに弱い私は、沢山の桜の名所に行っています。
行ってみて感動したのが日本5大桜の一つ、埼玉県北本市にある石戸蒲ザクラ。
私が昨年ハマっていたNHK大河ドラマの「鎌倉殿の13人」で、重要なキャラクターである源範頼(源頼朝の弟)ゆかりの桜でもあります。
源範頼は「蒲殿(かばどの)」と呼ばれていました。
これは範頼が遠江蒲御厨(現在だと浜松市)で生まれ育ったからなのですが、その蒲殿がこの北本市東光寺のこの地に杖を突きさしたら、そこからこの桜が生まれたと言われていて、蒲殿の名前からカバザクラと呼ばれています。
私も含めこのドラマのファン(特に蒲殿ファン)らしき人が他にも沢山来ていて、写真を撮っていました。
同じ名前の木材の名称で「カバザクラ」は桜の名前がついていますが、これは正確には桜の木ではなくて、カバノキの仲間。
硬くていい材料です。
日本の桜で一般的によく見るのは「ソメイヨシノ」ですが、通直に生長しないのと、大きくなっても中が空洞になっていることが多いので、木材として使われることはありません。
ソメイヨシノは観賞用の木です。
この蒲桜はソメイヨシノの満開の時期より少し後が満開の見ごろですので、ソメイヨシノを鑑賞された後に、こちらも是非行ってみてはいかがでしょうか?
(写真は2月の写真なので満開の写真ではなくてすみません。)(文:くりすけ)


20.03.2023「パロサント」

 
先日、ニトリに行った際に、パロサントという香木が展示されていました。
伽羅や沈香といった香木は聞いたことはありましたが、パロサントという名前は聞いたことなかったので、後で調べてみました。
パロサントとは、スペイン語で聖なる木を意味しています。
使い方は、お線香のように火をつけて、その香りを楽しむようです。
木の種類としては、リグナムバイタという名前で流通することが多いようです。
この木は、販売されている木の中で、最も重たい木としても有名。
生木のうちはまだ加工できるものの、乾燥をするとあら大変。
電動の切削機械でもなかなか加工をすることが難しい木になります。
金属切削用の機器を使わないと加工が難しいぐらい硬いのです。
ちなみにリグナムバイタとは、ラテン語で生命の木という意味です。
由来は、梅毒に効く薬として考えられていたことからきています。(のちに効果がないことが判明)
現在ではとても希少な木です。
そのためワシントン条約では、商業取引は認められているものの、輸出の際には証明書が必要な区分に指定されています。
私の記憶では、リグナムバイタは緑檀という名前をつけられて売り込みをかけられた時期があったように思います。
今回は、パロサントという名前で新たにマーケティングされているのかも知れません。(文:ドサンコ)


13.03.2023「空き家問題」

 
会社(東京都台東区)の近くでは、マンションが次々と建てられています。
恐らく完売していることでしょう…。
一方、全国的に空き家が増えています。
我が家の近くにも放置された空き家が数件あります。
トタン屋根が剥がれ、雨で柱が腐り崩壊しそうな家もあります。
台風などの天災で屋根が飛んで近隣の家を傷つける恐れがあります。
空き家対策として、国が特定空き家に認定すれば固定資産税が最大で6倍にしているそうです。
少しは効果があったのでしょうか?
空き家物件が土地付きでなんと100円で販売している例もあるそうです。
時代は変わりました。
土地付き一戸建てが缶コーヒーより安いなんて…。
他にも、リフォームして賃貸物件として入居者を募集し、10年住み続けてくれれば土地も建物も自分の物になるなんていう物件もあります。
面白い取り組みをしているなと、アイデアに感心しました。
これから人口が減り、空き家は増え続けるのでしょう。
新築の建物は綺麗で嬉しいと思いますが、私は古い建物のほうが味わいがあり居心地が良く癒されます。
いずれは平屋の古民家に移住し、自分でコツコツとリフォームしたいと考えたりします。
実現できれば嬉しいのですが、自分一人だけの問題では無いので難しそうです。
相方はマンション好きの都会派ですから…(文:兄貴6)


06.03.2023「血税のゆくえ」

 
皆さんは来年の2024年度から1人1,000円が徴収されることになる「森林環境税」をご存じですか?
佐久間木材の一員になって来月で丸2年の新米事務員も、木や森林の話題にだんだん敏感になってきた今日この頃。
「森林環境税」とは国内の森林整備などを目的に、納税者から直接徴収される税金だそうです。
つまり、日本のすべての納税者約6千万人が納税の対象で、住民税に上乗せされる形で一律1,000円徴収される予定の税金で税収は年間約600億円!
だいぶ大金じゃん?!
すでに2019年度より別の財源から自治体に交付金が配分される制度が始まっていて、各自治体にその使いみちを聞くと、およそ半分が眠ったまま有効に使われてないんだとか。
驚いたのは、なんと1円も使わずに全額を基金に積んだ自治体も全体の20%にもなるらしく、先日見たニュースでインタビューされてた、佐久間木材がある東京都・台東区役所の担当者は「今までもらったお金は全額積み立てています」との事。
おいおい?!ガッカリだなー台東区。
渋谷区も今後、公共施設の新築やリニューアルの際に、木材を利用していきたいと思っているものの、具体的な予定はなく、今年度も全額積み立てる予定らしいです。
たしかに都会で「森林環境税」ってピンとこない感じですけどね…。
でも森林ばかりの地方自治体だったとしても、人手が足りず担当職員もいないし、国から具体的な活用方法が示されてこなかったのでどのように使えばいいのかわからなかったのとで活用していないというのが多いのも事実でした。
もったいないなー、そんな税金無くてもよくね?って思うし、使いみちがないのに税金を取っているとも考えられる問題ですよね。
国は各自治体に対して、ネットなどで使いみちを公表するよう求めていて、自分が住む自治体の使用状況はホームページで確認できます、との事。
調べると都市部なのに世田谷区や横浜市なんかは有効に活用できてるみたい。
ふむふむ、じゃあワタシが住んでいる区ではどうなってるの?
4年前に区内の中学校新築事業で、「学校統合による新校舎建設に伴う建設資材の一部として木材を使用(壁板、根太等)」と1件のみありました。
全額積み立ててはいなかったけど、まあこの感じだとほとんど活用されてないんだよなー、って感じです。
頼むよ、東京都!徴収するだけして、眠らせておくなんてしないでね!
他の自治体も含め、日本の森林環境保全、国産木材活用の場をもっともっと増やしてほしい!と心から願うばかりです。(文:まるこんぶ)


27.02.2023「OSBの使い方」

 
OSBという単語はご存じでしょうか?
新しいアイドルの名前ではありません。
OSBとはオリエンテッド・ストランド・ボードの頭文字です。
住宅の構造用下地材として開発されたボードで、ストランド(細長い削片)の向きを揃えて並べ(オリエンテッド配向性)作られたボードを直行させて層をなした材のことをいいます。
材料の丸太を削片にすることで歩留まりよく利用範囲を広げ、節などの欠点をカバーでき、なおかつパネルにすることで強度も得られるというエコな板です。
当店エコモクサイトでもOSB(EU)とOSB(US)とOSB(JP)を取り扱っております。
私がこの業界で働き始めた当時は見た記憶がありません。
日本に輸入されたのはいつの頃だったのかというと、2×4住宅が採用され始めたころのようです。
通常は構造用合板と同じように、下地材として見えないところに使われているOSB。
今回ご紹介するのはOSBの表面の特徴を生かし、通常とは違う用途で使われているというお話です。
写真をご覧ください。
こちらは埼玉県にある大手の塗装業者さんのショールームです。
当店で納品したOSB(EU)をいろいろなサイズにカットし、箱状に組み上げた棚になっています。
原板から複数サイズに切り分けるのは、カットする手間が大変でした。
また、現場で組み立てるのも大変でした。
似たようなサイズがたくさんあり、一枚間違えるともう収まりません。
今回は職人さんが苦労しました。
さすがはプロフェッショナルだと、現場を見て思いました。
OSBの可能性はいろいろなところに眠っていたということで、自分も視点を変えていろいろ想像していきたいと思った仕事でした。(文:ゴン)


20.02.2023「2.5×6」

 
いやいや、年が変わってもいろんなモノの値上がりが止まりませんね。
この2月もナント5000品目を超える値上げが予定されているとか…。
あの物価の優等生だった卵も、鳥インフルエンザの影響もあり、いきなり2~3割上がってしまい、さらには品不足も起こしてしまっているそうです。
某コンビニのたまごサンドも十分な量を確保できないため、卵の量を減らしているとか…。
あの卵たっぷり感がよかったのに残念です。
お値段そのままでも内容量を減らすという、実質値上げを行っている商品って結構ありますよね。
ということで、弊社もこのたび、お値段そのままで合板をひと回り小さくすることにしました!?
「ナニー!」「ふざけんなよー!」というお声をいただきそうなのでやめときます(笑)。
しかし、十数年前までは表題の「2.5×6」(ニゴロク)というサイズの商品が実際にあったのです。
厚みは18ミリだけでしたが、サイズは約760×約1820で、主に抜型用合板のために作られた商品でした。
抜型は主に紙を抜くための土台に使用するものですが、その元々の紙のサイズは、例えば菊全、菊判と言われる636×939、K判と言われる640×940といったサイズが中心でした。
型としてはそれをひと回り大きくしたサイズが必要です。
2.5×6が登場する前までは3×6を使用していましたが、「ハジの部分が無駄なのでもったいない」というお客様からのたくさんの声により作られたサイズでした。
当時の抜きはビク型と呼ばれる「手動式」のものでした。
それが現在では、ほとんどオートンと呼ばれる「自動式」に切り替わっており、取り付けられる型のサイズも機械により自動的に決まってしまいます。
そんな理由もあり、2.5×6は時代と共に消えていったのでした。
ちなみに、逆に少し大きい1×2(メーター)約1000×約2000というサイズもついこの間までありましたが、同様に終売いたしました。
現在では、その抜型のサイズも非常に多様化しております。
弊社では、ホームセンターさんのように「切り売り」はできませんが、少しでも無駄を省くことにより、今後はアウトレットコーナーの充実、更なるラインナップやサイズの拡充等、お客様に「お得感」を感じていただけるように幅広くチャレンジしていきたいと思っておりますので、ぜひご期待ください!(文:正さん)


13.02.2023「マックイーンが材木屋だったら」

 
先週のブログにもちょっと書いたのですが、1月29日は私の大事な人の命日でした。
去年、94歳でお亡くなりになりました。
見た目がスティーブマックイーンに似ていて、カッコよかった。
子供の頃から可愛がってもらったスティーブマックイーンです。
小学校の時の夏休みの自由課題は、佐久間木材の林場に落ちている無垢の端材を使って、一緒にいろんなものをつくりました。
4年生くらいの時だったか、潜水艦に挑戦したことがあります。
あれは何の木だったでしょうか…。
彫刻刀で地道に削り、塗装して、モーターをつけて…。
実際に潜っていくかどうかを試せる水槽がなかったので、結局ちゃんと潜る潜水艦ができたかどうか怪しいものでしたが、私は大満足でした。ある日の日曜日、やはり林場で一緒に遊んでもらっていたら、通りがかりの人が木材を買いに来ました。
適当なサイズの端材を見つけて、「これ頂戴」というのに対し、値札が付いていないのに瞬時に「300円でいいよ」と。
その時、私はどうやって値段をつけたのか不思議に思いました。
木材は立米単価で値段を付けます。
算盤や暗算が得意だったスティーブマックイーンです。
今思うと、その端材の体積を計算し、その樹種の立米単価をかけて、さらにその利用価値を計算して値段を出したのだと思います。
その数分の出来事をなぜか今でもよく覚えています。
頭がよくて、手先が器用で、物知りで、楽しいスティーブマックイーン。
私の憧れのスティーブマックイーンでした。
安らかにお眠りください。(文:木材バカ四代)


06.02.2023「榧(かや)の木」

 
私、数年前から年末年始はパワースポットを巡ることにしています。
年末年始はどこへ行っても沢山の人で混みあっています。
日頃訪問したいと思っているお店などは、お正月休みで閉まっていることが多く、この時期に行く場所として、いつでも年中無休で開いている神社仏閣は向いていると思います。
(初詣で混む場合は誰もいない早朝に行きます。)
神社や寺には沢山の木を見ることができるのですが、先日訪問した越谷の久伊豆神社には、非常に珍しい榧(かや)の木がありました。
榧の木は一山に一本といわれるほど希少な木です。
榧の木は非常に成長が遅く成木となるには300年かかるとも言われ、現在は材木としても伐採できる榧の原木は非常に少ないため、最高級木材のひとつです。
成長が遅いために年輪が詰まっていて耐朽性や保存力も高く、この材で作られる工芸品(特に有名なのは碁盤や将棋盤)は最高級品とされています。
弾力がある榧材の碁盤や将棋盤で打つと、駒がパチンと良い響きがするそうです。
また、榧の材木は虫よけの香りがするそうです。
もともと榧という名前の由来は、燃やすとその煙が蚊よけになったことから「カヤ」の名前になったという説があります。
榧の種子は木材よりもさらに希少で、現在ではほぼ入手できないそうですが、明治時代や大正時代の文献をみると天ぷら油として使用され、かつては「日本最高級の食用油」として愛されていたそうです。
こんな素晴らしい木が「成長がとても遅く非常にコストがかかる」という理由から、植林されない現状が残念でなりません。
いずれにしても貴重な木を年始から見ることができ、私は幸先が良い気がします。
ちなみに榧の花言葉は「努力」。
久伊豆の神様は、私に「さらに努力をしろ」と強く言いたかったのでしょうか?(笑)(文:くりすけ)


30.01.2023「木の会話」

 
木は、わかりやすく言葉では会話はしません。
しかしコミュニケーションはとっています。
言葉の代わりに、香りで自己表現をするのです。
これに関係した以下のようなことが、かつて観察されたことがあります。
キリンは、サバンナに生えているアカシアの木の葉を食べます。
アカシアは、この捕食者を追い払うために葉の中に有害物質を集めます。
毒に気づいたキリンは、当然移動します。
しかしただ隣の木に移動するのではなく、100メートルは離れたところに移動して食事を再開します。
なぜこれほど離れるのでしょうか。
それは、葉を食べられた最初のアカシアが、まわりの仲間に警報をしらせるガス(エチレン)を発散するからです。
警告をうけた木は、まだ食べられていない段階で有毒物質を準備しはじめます。
それをキリンは知っているため、食べている木よりも遠い場所や、風上に移動するのです。
このようなことはサバンナ以外の森でも行われているようです。
ブナやナラなども同じようなことをしているようです。
また、人間と同じように、木も電気信号を走らせて体内に情報を伝達することができます。
ただその速度は、人間にはほど遠い速度です。
一分で一センチしかすすまないといわれています。
そこから葉の中に防衛物質を集めるまでに、一時間ほどかかるようです。
自分の身に危険がせまっているときでさえこの速度です。
樹木は人間よりは、おおらかなのかもしれません。(文:ドサンコ)参考文献
『樹木たちのしられざる生活』ペーター・ヴォールレーベン著 長谷川圭訳
ハヤカワノンフィクション文庫


23.01.2023「山火事」

 
最近、東京は雨が降らない日が22日も続き、乾燥でカラカラの日本列島は火災が相次いで起きていますね。
世界各地でも非常に多くの山火事が発生しています。
昨年、米国カルフォルニア州、ヨーロッパ、カナダの山火事が大々的に報道されていました。
ヨーロッパだけでも、昨年の山火事による累計焼失面積は、東京都の面積の2倍以上になってしまったそうです。
東京都が2個以上無くなっているとは、想像を絶する面積ですね。
日本ではそれほどの大きな山火事はありませんが、毎年山火事は発生しています。
その件数は毎年1000件以上に及んでいます。
山火事の原因は、人的なものだけではなく自然発火も多くあります。
火のないとことろで火災?と、不思議に思うかもしれません。
乾燥した落葉が風などで擦れあい火種ができ燃え上がったり、静電気が発生して発火します。
これは防ぎようがありません。
山火事は近年増加しているそうです。
気候変動が影響しているとも言われています。
特にヨーロッパでは熱波が続き、川の水が干上がるほどで、山も乾燥して山火事が各地で起きてしまいました。
損失した森林はかなりの規模になります。
このまま気候変動で毎年のように山火事が増え続けたら、さらに生態系に甚大な影響がでることでしょう。
考えるとぞっとしてしまいます。(文:兄貴6)


16.01.2023「サ道で『ととのう』」

 
皆さま、ととのってますか?
一部マニアの間で流行っている言葉で、一回は耳にしてると思われる「ととのいました!」。
そもそもは、ほとんどの男性が好きなサウナが舞台のドラマ「サ道」で登場人物がしきりに言ってるアノ一言。
最近ではサウナ-女子っていうのもいるそうで、女子の間でもひそかに流行っているとか。
「ととのう」というのは、サウナ→水風呂→休憩をくりかえすことで訪れる快感、トランス状態のことを指すらしいです。
大体、私自身サウナに入る機会も年に1回あるかないか?って感じなんで、へぇ~そうなんだ…わからんでもないけどネ…ぐらいにしか思ってませんが(笑)。
先日、スーパー銭湯大好き息子が、今日は絶対サウナ入る!と近所のサウナ付き銭湯に行ってみたはいいけど、早々に帰宅。
ずいぶんと早く帰って来たね~と聞くと、
「高校生のガキがととのいました!とか言ってウジャウジャいて、サウナ1時間40分待ち!(怒)」と息子。
自分だってこの間までガキだったくせに、急にオジさんチックな事を言いますなぁ(^^;。
なるほどー、たかがサウナ入るにもなかなかハードル高くなったんだな、というエピソードがありました。
そんなある日、ニュースで国産杉で作ったバレルサウナを紹介していました。
バレルサウナは、名前の通り筒状の樽型サウナで、木材加工会社や建具店など職人によるハンドメイドで1つ1つ丁寧に制作をしているんだとか。
簡単に設置ができ移動ができるのが特徴で、釘などを使わず、セルフで組み立てられる木材キットになってるそうです。
YouTubeでもバレルサウナ組み立ててみた!的な動画が数多くアップされていました。
宮崎杉、道南杉、四国杉、鳥取杉など、全国の木材を活用したこのプライベートマイサウナ、1台/137万円からネット販売されています。
杉の香りで『ととのう』なんて、なんとも贅沢じゃないですか~。
国産木材でもっと気軽にサウナを楽しめる時代が近々来る予感がします!(^ε^)(文:まるこんぶ)


10.01.2023「港湾デビュー」

 
長年にわたって木材関連の仕事に従事している私ですが、先日初体験をしてしまいました。
それは、江東区の若洲にある東京木材埠頭に商品を引き取りに行くという仕事です。
若洲は新木場の隣りにあり、新木場まではちょくちょく引き取りに行くのですが、橋を渡って若洲地区はなかなか行くことがありませんでした。
プライベートでは海釣り公園に行ったことはありますが…。
しっかりとした警備員さんのいるゲートで「初めて引き取りに来ました。」と伝えると、手順が示されているファイルを手渡されて説明をしてくれました。
次に所定の駐車場に車を止めて事務所に行き、受付にて伝票が発行されて待機しました。
とにかく敷地が広大で、事務所に行くにも歩くのが大変なほどでした。
それから、20分くらい待機して呼び出しがかかり積み込む場所へ移動です。
またそこへ向かうにも時間がかかります。
いよいよ積み込みという時にトラブル発生!
ヘルメットを被らないと積み込みできないのです。
普段ヘルメットを被ることは稀で持っていませんでした。
それからまた事務所へと戻りヘルメットを借りて、何とか積み込みを終えることができました。
さすがにルールに厳格だなあと感心しました。
帰りもゲートにて伝票を照らし合わせてからの退場。
手間の多い初体験となりました。
とにかく山のように木材が積みあがっていて、ここにいると木材不足が嘘のように感じた出来事となりました。(文:ゴン)

 

 

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